masters unity クラウドファンディングを通じて➉
2022.08.24
経営に役立つクラウドファンディング
「テストマーケティング編」
以前の記事でも少し触れましたが、クラウドファンディングはテストマーケティングとして活用される事があります。
おもにベンチャー企業が新製品の販売に向けてその開発費や量産のための資金を募るものですが、いわゆる「先行販売」のようなものですので支援というよりも「売り手と買い手」という通常の販売に近い形になります。
テストマーケティングは、商品やサービスなどに対する反応調査をすることです。一般的なものではモニター調査でサンプルを配布して評価を求めたり、実際の市場でのテストとして地域限定での販売を行います。少し範囲をしぼる時は会場での調査ということで特定の場所に対象者を集めて意見を求めたりします。
ではクラウドファンディングでのテストマーケティングはどのようになるのかというと、反応調査をしたい商品を「リターン品」に掲載します。リターン品は数点用意することができるので、同じ商品でも色違いのものを複数掲載したり、付属するオプションによって価格設定の違うものを用意したりできます。
例えば色のパターンを5種類用意しておいて、最終的に販売するのはクラウドファンディングで支援の多かった上位3色を採用する、というようなことができます。付属オプション別のバリエーションも、どの価格帯が支援数が多いかを見て実際の商品の販売時に参考にできるなど、まさに事前のテストを行うことができます。
テストマーケティングとして商品を出す場合は、予定している定価よりも少し安くすることで支援者にお得感を感じさせることができます。ほぼ完成品という状態のものが割安なのは大きな魅力です。ひとつだけ欠点があるとすると、目標金額を達成できなかったらリターンがお届けできないということです。これはAll or Nothing方式に限った事ではありますが、買ったつもりの商品が結局買えないとなると支援者としては残念な気持ちになってしまいます。
クラウドファンディングでのテストマーケティングは、通常の事例で書いたような無料サンプルを配布したり、地域を限る必要がありません。実際の販売スタイルとほぼ同じ事が事前にテストできるのです。そして、広告宣伝の記事でも書きましたが当然このテストマーケティングも費用がかかりません。出費ゼロで反応調査を行えます。
コロナ禍になってからは大手企業もクラウドファンディングによるテストマーケティングを取り入れるようになりました。先に書いたような、特定の会場に人を集めるといったことができなくなったからです。会議や商談をZOOMで行うのが当たり前になってきた今の世の中は、コロナ以降でさまざまなものが形を変えています。マーケティングの手法もその変化の中のひとつと言えます。